琉球古紅型・正続2冊・製本版/沖縄染織図案/100図版/佐々木治郎・畑中基良両氏の蔵品を中心として300点の内100点余を選び頒布/昭和43年

商品説明
琉球古紅型・正続2冊・製本版/沖縄染織図案/100図版/佐々木治郎・畑中基良両氏の蔵品を中心として300点の内100点余を選び頒布/昭和43年

昭和43年 昭和42年序文 ばらばらの図版ではなく製本されています。 輸送箱サイズ36cm*45㎝の大判です。部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

私達は、琉球の華麗な紅型や水の精のような藍型の着物、筒描きの溜ましい風呂敷を知っており、一般に琉球の染物を総称して紅型と呼び慣わすが、紅型は琉球の染物の内の型染めの一部であり、その多色で華やかな夢のような美しさからして琉球の染物の代名詞ともなり、この言葉の持つ響きから直ちに媽やかな南島の絵巻物と云ってもよい一種独特な調子の染物を連想させてくれる。

「琉球の染物は、織物とともに琉球が誇る工芸部門を代表するものであると考えられる。近時琉球染色の代表とも云える紅型に対する認識が高まり、服飾の分野に於てる牢固とした支持を得て、これに類する染物が各地で絶えず制作され、市販されるようにな
った。大変に結構なことには違いないが、このことは一面似て非なるものの氾濫をもきたした。このあたりで琉 球の染物に関して一応価値的な締め括りをしておくのも無駄なことではないと思う。

幸いにも昭和十四年日本民芸協会渡島の折、現地で芹沢錐介先生の指導によって当時その技を伝承していた知念積秀、瀬名波良持両氏の家に二ケ月間通い実地に技を習得できたことは、戦争にょって技術が中絶し、戦後復興したものの大きな断絶を示している今となつてみると非常な幸運に恵まれたことと云わねばならない。衰退に移行しつつあつた当時は、旧藩時代の技術に較べると雲泥の差があつたと云えるのは事実であつても、知念、瀬名波両家の人に混つて一緒に実技を生活として体験できたのは、その不足を充分に補い得たと信じる。現在から見ると、何物にも替え難い経験となつて物を観、考える場合血にも肉にもなつていると思える。爾後、多くの人の所蔵品に触れ得たし、其後三回の旅でも 知識を殖やすこともできた。

ここに幸いにも有秀堂より紅型の集大成とでも云える「琉球古紅型」の出版に当り、筆を執るのも実際に戦前の技を実地に行いノートを採った者の務とも考える次第である。

この一文は当時の筆者のノートを基にし、以後得た知識や経験を筆者なりの考えで纏めたものである。従つて現今行われている紅型との相違点には触れない。読者が紅型に関する知識を価値的に豊富にし、理解を深めて貰う為に琉球の染物全般の外、これに関係あると思われる各地の染物にも簡単ながら触れてゆく。歴史を専門としない筆者としては美的対象を第一義とし、工程、技術的な面に多くの比重を置き記述することになるのは、染物に志す人や、興味を持つて深く研究する方々への説明の助けと共に贈物としたい念願からであり、実際に染物をされない方でも図版を見ながらこの文と較べていただければ染め方や種類についても大体判って頂けると考えているし、実技に進まれる方にとっては尚更のこと具体的になると信じる。

本書は佐々木治郎、 畑中基良両氏の蔵品を中心として 三百点の内百点餘を選び 図版に附し、 十回にわたり頒布することになった。 煩雑な労を負われた 株式会社日本国際美術センター藤田徹也、 株式会社光琳社河村善元両氏に対し、深く感謝を贈るもので
ある。
昭和四十二年四月上流
岡 村 吉右衛 門


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